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2026.07.09

「AIに制作指示書を入力すれば、バグのない綺麗なコードとトレンドを抑えたデザインがわずか数秒で出力される」時代に、プロのデザイナーはAIとどう向き合うべきか。
今回のセミナーでは、講師である井上大器氏が「AI vs 人間」という真っ向勝負の形式で、同じ制作指示書をもとにAIと自分自身、それぞれが作ったLPを見比べるという、これまでにない実演を行いました。
目次
ルールはシンプルです。同じ制作指示書を、AIと井上講師それぞれに渡す。AIは一切修正を入れない「取っ手出し」。井上講師も、AIの出力を一切見ないまま、AIの速度にできる限り近づけるべく2時間でLPを制作しました。
題材は、架空のクラウド会計サービスの公式LP。無料トライアル申し込みのCVR最大化がゴールとして設定されていました。

2つのLPを見比べた結果、井上講師の口から出たのは意外なほど率直な一言でした。
「正直、永遠に勝てないです。30年やってきて、Webも20年やって、LP作るの多分早い方だと思ってるけど、ここまでできても、まあ多分永遠に勝てないなっていう感覚がかなり強いです」
AIの出力はすでにコーディング済みで、静的なページであればエラーもほとんど出ません。60点程度のアウトプットが数分で出て、そこから30分ほど修正すれば80点程度の、十分検討に値するものが仕上がってしまう。人間換算で「100倍以上の速度」で量産できてしまう、というのが井上講師の実感でした。

とはいえ、AIには本質的な弱点があると井上講師は続けます。それが「仮説を立てる」というプロセスです。
AIはハルシネーション(事実に基づかない出力)を避けるよう設計されているため、統計データなど安全な情報を参照する方向に収束しやすく、尖った仮説や大胆なアイデアを出すことが苦手だといいます。

「市場の目を引く、とがったことをやろうと思ったら、意外に人間、結構勝てるんじゃないか」。どの仮説に賭けるかを決める意味付けや選択眼こそが、長年の経験と勘に基づく人間の役割だという整理です。
「AIにデザインを作らせるというより、デザインを作る道具としてAIを活用していく」。表現の量産やスピードが求められる部分は完全にAIに任せる。一方で、クライアントの課題に対してどんなアイデアをぶつけるかという「仮説を立てる」部分は人間の仕事として残る、という切り分けです。

井上講師自身、「Figmaの代わりだと思えばいい」と語り、実際にこのセミナーのLP制作前の2ヶ月間、ほとんどFigmaを触っていなかったと明かしました。日々の仕事の多くは、AIが作ってきたものへのフィードバックだといいます。
セミナー終盤、井上講師が語ったのは「クライアントを納得させる説明力こそが、人間最後の砦である」というメッセージでした。

「AIは責任を取ってくれない」ため、出力したデザインについて誰かが責任を持たなければならない。この「表現そのものに対して責任を取る」という役割が、AIが進化するほど価値を持つようになる、という考え方です。
AIに「なぜこのデザインにしたのか」と聞けば、それらしい理由をいくらでも文章化してくれます。しかし、それを丸暗記してクライアントの前で話しても、突っ込んだ質問に答えられなければ意味がありません。試行錯誤や壁打ちを重ねてこそ、自分の言葉でデザインの意図を語れるようになる、というのが井上講師の結論でした。
nestsでは、今後もAI時代のデザイナーに必要な思考法や実践スキルを学べるセミナーを開催していきます。
詳しいセミナーレポートは、noteにて公開しています。事前質問への回答や参加者の声など、当日のより詳しい内容を知りたい方は、ぜひこちらもご覧ください。
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