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2026.07.22

AIにデザインを作ってもらった後、「悪くはないけれど、なんとなく違う」と感じた経験はないでしょうか。指示した通りに仕上がっているはずなのに、いざ人に見せようとすると、うまく理由が説明できない。そんな手応えのなさを覚えたことがある方は、少なくないはずです。
前回の記事では、AIを使いこなす先で問われる力として「判断力」を挙げ、AIの出力に対して「なぜこれがいいのか、なぜ違うのか」を言葉にする習慣が、その近道になるとお伝えしました。今回は、その言語化を実際にどう進めればいいのか、具体的な手順に踏み込んでいきます。
目次
「なんか違う」という感覚を、感覚のまま放置してしまうと、いくつかの問題が起きます。AIに的確な修正を指示できず、なんとなく手直しを繰り返すだけになる。上司やクライアントに理由を説明できず、「センスの問題」で片づけられてしまう。そして何より、同じ違和感に何度もぶつかりながら、それが経験として積み上がっていきません。
nestsの第3回セミナー「超・デザイン言語化力」で、井上講師はこう述べています。「AIは責任を取ってくれません。自分たちのアウトプットに責任を取る行為こそが、言語化なんじゃないか」。感覚を言葉にするという行為は、単なる説明のためのテクニックではなく、AIの出力に対して自分の判断で責任を持つための技術だということです。
「なんか違う」は、一つの感覚のように感じられますが、実際には複数の要素が絡み合って生まれています。次の4つの視点に分解して見ることで、感覚を具体的な指摘に変えていくことができます。

このデザインは、誰のために作られているのか。想定している相手と、実際に画面から伝わってくる印象がずれていないか。
見る人の視線が、意図した順番で動くように設計されているか。情報の重要度と、実際に目が向かう順番が一致しているか。
色の使い方に、狙いがあるか。なんとなく綺麗な配色ではなく、伝えたいことを補強する配色になっているか。
余白が、ただの空きスペースになっていないか。情報のまとまりを作ったり、視線を誘導したりする役割を果たしているか。
この4つに沿って「どこが、なぜ、引っかかるのか」を一つずつ当てはめていくと、漠然とした違和感が、具体的な指摘に変わっていきます。
上記の4視点でAIの出力をチェックするとき、特につまずきやすいポイントが3つあります。

AIの出力では、情報の整理そのものは一見きれいに収まっている一方で、ユーザーの気持ちが動いた、まさにその瞬間に次の行動を促すという設計が抜け落ちやすい傾向があります。読み進めて興味を持った直後に、申し込みボタンや問い合わせ先が見当たらない。ユーザーが動きたくなった瞬間と、実際に動ける導線の位置がずれてしまっているケースです。
読みにくい文字は、「存在しないのと同じ」です。AIの出力は、一見整って見えても、背景と文字のコントラストが弱く、実際には読み飛ばされてしまう箇所が紛れ込んでいることがあります。「なんとなく薄い」と感じたら、感覚のままにせず、コントラストの強さを具体的に確認する習慣をつけておきたいところです。
AIは、情報を整然と並べることが得意な一方で、あえて視線を止まらせる、崩すという設計は苦手です。すべてが同じリズムで並んでいると、読み手はどこにも立ち止まらないまま最後まで読み流してしまいます。「きれいだけど印象に残らない」という違和感の正体は、多くの場合ここにあります。

4つの視点と3つのつまずきポイントに沿って違和感を言葉にする習慣がついてくると、変化が起き始めます。AIへの指示が「なんとなく直して」から「ここのコントラストを強めて」というように具体的になり、修正の精度が上がります。そして、自分の判断を他者に説明できるようになります。
nestsが2026年7月に開催したセミナー「AI vs プロデザイナー 同じ指示書でガチ対決」の中でも、井上講師は「デザインに言葉を宿す説明責任こそが、人間に残された最後の砦」だと語っています。AIがどれだけ速く、質の高い案を出せるようになっても、「なぜこの案にしたのか」を自分の言葉で語れることの価値は変わりません。
「なんか違う」は、センスの有無ではなく、分解して言葉にできるかどうかの技術です。そして、現場でデザインに関わってきた経験がある方ほど、実はこの4つの視点で判断するための材料を、すでにたくさん持っています。次にAIの出力を前にして違和感を覚えたときは、ぜひ一度、この4つの視点に当てはめて、言葉にしてみてください。
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